No4by 菜工房 03/01/19
蕎麦の道
もう10年くらいになろうか。地域の仲間と蕎麦を打ち、美味い酒でも呑もうかというのがいつもながらの動機である。程よい蕎麦粉も近くで採れ、水も湧き水から沢の水まで揃う。問題は道具であった。わが町は木工製品が強い。隣町は金物器具の町。道具にはさしたる金額もかからないだろうと思ったが、実際年に数回蕎麦を食べるに見合わない金額であった。購入をあきらめた。しかし食い意地だけはヒトには負けない。たまたまわが店の前の飴屋さんが蕎麦を打つという。見学に行った。
店のテーブルに置いた何の変哲もない板を置き、ノシ棒は普段見かける立派なそれでもないタダのノシ棒である。蕎麦包丁?!コレには唖然とした。いわゆるバンドーソーという木材を切るための工業用電動のこぎりの刃を切断して手になじむように創ったものだという。小気味よくその蕎麦包丁で切られた蕎麦は眉目秀麗、それが茹で上げられ私の目の前にあった。密かなる蕎麦好きを自認していたが目から鱗とはこのことか。当時からメディアの伸長で蕎麦屋の敷居と価格が上がり、蕎麦の本流から外れてきているのではと思っていた。痩せ地で稲作の出来ない里の主食的蕎麦がかように変貌することに一抹の侘しさを感じていた。かっては集落の爺さん婆さんが木鉢で打っていたもの。きっとステンレス製ボウルなど手に入らないほどだったのであろう。それが・・・今や何万円もする木鉢さえ揃えないと蕎麦ではないのかも知らない。しかし我が仲間とはイイ蕎麦粉さえ手に入れば、下記道具と水・・・湧き水を汲んできてその蕎麦を打ち、洗い、手繰る。蕎麦の三たてというがこれらの道具で見事蕎麦の本質を味わった気がした。
早速ホームセンターでコンパネという1cm厚さの900×1800の板を購入。コレを半分にしてのし板とした。ノシ棒はメンバーに木工の仕事をやっているメンバーに任せた。問題は蕎麦包丁。廃品となったバンドソー・・・そうだ居た!その友人に頼み無料でいただき我が店の電動砥石で刃を復活させた。これで一通り揃い蕎麦打ちが始まったわけである。
最初の頃の蕎麦は惨憺たる蕎麦であったが蕎麦粉の独特の風味が味わえ、次の蕎麦打ちの貴重な体験となる。回数を増やすたびにメンバーの中には本職はだしも出てきた。酒を呑みながら野次を飛ばすメンバーから私は蕎麦打ちのそばでそれらをガードする役を賄った。
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@何はなくともコレ!写真クリック
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A水回しの図、仲間は本職はだしです。
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Bコンパネから今やのし板を借りて
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C意外と細くが難しい。
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D大昔の羽釜の登場です。火床?!
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E板盛り。これが雪割り蕎麦です。
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F長老がまずは味見
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G蕎麦肴で呑むは、呑むは(笑)
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■一風二八蕎麦
蕎麦粉約4・5人前の場合用意する材料と設備について。蕎麦粉400g・小麦粉(普通)100g・水220〜250cc・つゆ(無添加がベター)
打ち粉として蕎麦粉100g前後。水できれば天然水5リットルくらい・大きな鍋・ザル・すくい網・盛りザルあるいは板 のし板・のし棒・包丁(大振りな包丁でも良い)・コマ板(押さえのための)・ステンレスボウル。(最初、ワルノリしてロールペーパーなどの硬い厚紙の芯である筒でのし棒代用にしたこともあったが、ある程度重さがあったほうがいいと思います) @酒・・・この酒は地元萬寿鏡酒造「甕覘」(かめのぞき)くらい奮発した日本酒を用意。呑みながら作業を静かに見守る。 Aボウルに蕎麦粉と小麦粉を入れ両指で丹念にミックスする。混じり合ったら水を4〜5回に分けてかけ回す。いわゆる水回し作業です。かけては蕎麦粉を満遍なくミックスすることが大事です。これを徐々に丸めていきます。ソフトボールより大きいくらい。柔らかさは耳たぶの柔らかさが目安です。ここでは時間をかけて練ります。 Bのし板に軽く打ち粉を振り、丸めた蕎麦をのし棒で広げて行きますが左右であろうと上下であろうと必ず同じ回数のします。四角にするにはコツがありますが、のした蕎麦粉の板を90度の回転で上下だけののし方になるようにします。詳しくはメールにてお問い合わせを(笑)コンパネを覆うくらいの大きさにしましょう。 C薄くのした蕎麦粉(出来れば1mmくらい!)の表面に打ち粉を振り広げる。真ん中から折る、それをまた折って切り方が始まります。ゆっくり・・・そう細く切りましょう。ヒト束が一人前になるよう切り分けましょう。 D切り分けた蕎麦は鍋サイズによりますが、熱湯で蕎麦が対流するくらいの量を茹でましょう。サラサラと火傷しないよう鍋に放り込みます。ここで一番大事ですが決して鍋に放り込んだら蕎麦にちょっかいを出さないことが肝要です。でないと蕎麦がボロボロになります。茹で時間は太さにもよりますが、数分。ボウルにザルに用意してすくい網で蕎麦をすくいボウルの水に放します。冷たい流水をタップリ浴びせ両手で軽くヌメリを取ります。 Eよーく水を切りザルや板に盛って出来上がりです。薬味は長ネギ・辛味ダイコン・七味唐辛子などお好みで。 注意:蕎麦は乾燥をとても嫌います。暖房は止めましょう。
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