『一風基礎用語集』の由来を語るにあたり、私は20年来野山を散策しては山菜やキノコなどを採取してました。今でも自然界から多大な恩恵を頂いています。きっかけは野生ラン・・・に続いて薇(ゼンマイ)採りであります。
父親の周りには常に部門ごとのエキスパートが居り、父たちは季節季節にあった遊びをそれぞれに応じた数人で楽しんでいたわけです。私が小学校高学年になる頃には同行を許され、今の基礎となる自然界デビューの鮎獲りやキノコ採り、それにハンティング助手みたいなのがはじまりました。さすが途中の青春期は良くある特徴的で且つ一般的嗜好・動向に走り、自然界には目もくれず、いわゆる生活消費型遊びに目が行っていました。
結婚もし子もでき、その頃になると庭には野生種の山野草の鉢が数百も並ぶようになります。祭りの夜店での山野草の小さな鉢の中の草花に質素な美を感じたからです。朝晩の水遣りや害虫駆除などこまめにやり、季節の山野草を愛でていました。1985年あたりから国内野生ランや寄せ植えに興味が沸き・・・ここからが山野を駆け巡るきっかけとなりました。
長生ランというセッコク探しに地元の山を探索です。かっての父の仲間にガイドを受けて、道なき獣道をたどり、断崖の岩と岩との隙間にそのセッコクを探し始めたことが初体験でした。こんな岩場にある分けないのです。冬の断崖は風雪に凍てつき、いくら寒さに強いといわれるセッコクにも限度があるのです。しかしながら登山道さえ歩かずにこの岩場に到達した時、全身が感動に震えたのです。疲れにより神経が過敏になっていたせいでしょう。はるか眼下にさきほどまで鬱蒼としていた落葉樹の森にその樹冠が拡がり、鷲か鷹のような気分だったのでしょう。人しか見ない街の中からみれば、まさにこの森のまだ上にある断崖は清涼且つ爽やかな風だけが流れてました。
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